こんにちは。uca.です。
紙が風邪をひくという言葉を聞いたことはありますか?
また、それがどのような状態を表すかご存知でしょうか。
今回は水彩紙と呼ばれる主に水彩画で使う紙について
書いてみたいと思います。
紙が風邪をひくって何?
紙が風邪をひくの?!
どういうこと??
言葉だけ聞くとどういう状態を指しているのか
全くわかりませんよね。私も初めて聞いた時は
何のことだかさっぱりでした(笑)
紙が風邪をひくという表現は、水彩紙に限らず保管している間に
紙の品質が劣化する状態のことを指します。
今回取り上げる水彩紙に対して言う「風邪をひく」とは
サイジングと呼ばれる紙に施されているにじみを抑える加工の力が
弱まったり剥がれてしまった状態のことです。
一度風邪をひいてしまった水彩紙はそのままでは元の状態に戻ることはありません。
また、風邪をひいているかどうかは見ただけでは判断がつかないので厄介です。
このような事にならないためには紙のコンディションを
保つことがとても大切になります。
風邪をひいてしまってると気づかずに着色しちゃって
せっかく頑張って下書きしたのに…と泣くに泣けなかった
こともあるんだよね?
そうなんですよね~。あれはガックリきますよ(笑)
私のような経験はしていただきたくないので
しっかり対策していただきたいです。
水彩紙ってどんな紙?
そもそも水彩紙ってどんな紙なの?
画用紙やケント紙との違いって何??
水彩紙にはサイジングというにじみ止めの加工が施されていて
画用紙やケント紙よりも厚めです。
そして、使われる紙の原料にも違いがあって種類も豊富なんですよ。
えー‼️水彩紙って1種類じゃないんだ!?
そうなんですよね。
では、まず水彩紙がどんなものか見ていきましょうか。
水彩紙の特徴
厚さと重さ
水彩紙は画用紙やケント紙などと比べて厚さがあって重量もあります。
厚い紙ほど水を多く含んでも変形しにくくなります。
テクスチャー
粗目(Rough): 表面がざらざらしていて、ボコボコした効果が出やすい。
中目(Cold Pressed/Not): 表面は粗めに比べて滑らか。
紙の質感と滑らかさのバランスが取れています。
細目(Hot Pressed): 表面は非常に滑らか。ボタニカルアートや細密画など
細かいディテールを描きやすい。
原料
木材パルプ(ウッドパルプ):一般的に安価で、学生用や初心者向けに多く使用されます。耐久性がコットン紙に比べて劣り、水分の吸収がやや速いです。
コットン(綿):高級な水彩紙に多く使われ、100%コットンの紙は特に高品質です。吸水性が良く、紙の強度が高いため、絵の修正や重ね塗りがしやすいです。また、色の発色が良く、長期間保存しても劣化しにくいという特性があります。
紙の目の粗さにも種類があったり見た目にも
違いがあるんだね。
メーカーによっても紙の色味や絵の具を乗せた時の発色の仕方
にじみ方など違いがあるので、いろいろ試してみたいと思ったら
はがきサイズのものが大きさも値段もお手頃ですよ。
水彩紙の風邪の症状と対策
風邪をひいた紙に着色するとサイジングの加工が弱まった箇所に
絵の具がすぐに染み込んでシミのようになってしまって
仕上がりにも大きく影響します。
このような症状を避けるためには日常的なケアをするのが大切です。
水彩紙の風邪を防ぐためには、何より湿度管理が重要です。
水彩紙を購入して未開封の状態ではビニールで包装されているので
それほど湿度を気にする必要はありませんが
開封後は湿度を50%前後に保てる、直射日光の当たらない場所に
保管するようにして高温多湿を避けるようにしましょう。
また、開封後はできるだけ早く使いきるようにして
長期間保管する場合は、防湿ケースや乾燥剤を活用して湿気を避けてください。
水彩紙の保存方法と注意点
水彩紙の質を維持するには、保存環境を整えて、適切な方法で保管することで
紙の風邪を防いで、良い状態を保つことができます。
ここでは、最適な保存環境や具体的な保管方法、
そして保存時に注意すべきポイントについて説明します。
最適な保存環境
まず水彩紙を保存する際の最適な環境は、温度と湿度の管理が鍵です。
次に、紫外線や急激な温度変化を避けることで、紙の質を長く保つことができます。
湿度は50%前後、温度は15〜25度の範囲が理想的といわれます。
これによって紙は湿気や乾燥による影響を最小限に抑えることができ
繊維が安定します。
ただし、室内環境を常に維持するのは難しいものです。
そして、紫外線は日焼けを起こします。
日焼けは変色と紙の強度を劣化させます。
紫外線といえば日光ですが、発せられるのは直射日光だけはありません。
日光に比べれば微かで人の肌が日焼けするほどではありませんが、
室内であっても白熱電球や蛍光灯のような照明からも
紫外線は発せられていますので、
保管にはできるだけ光の当たらない場所が適切と言えるでしょう。
ちなみに、LED照明は紫外線をほとんど発しないから
展示品の状態を長期間良好に保つ必要がある
美術館や博物館でも使用されてるんだって。
水彩紙の保管方法
水彩紙の保管をするために気を付ける必要があるのは
紫外線と湿気と上で書きました。
ここでは保管方法について説明していきます。
まず、紫外線に対してはできるだけ光の当たらない場所を選びましょう。
直射日光はもちろん、蛍光灯などの照明に長時間当たる場所は避けて
温度変化ができるだけ穏やかな部屋で保管してください。
そして、今回の風邪の原因となる湿気に対しては
シリカゲルなどの乾燥剤を入れた密閉が可能なケースやジッパー付きのポリ袋に
水彩紙を入れて保管します。水彩紙専用の保存袋も販売されています。
紙が直接触れる手や場所に油分や汚れが付いていると
紙に付着して劣化や画材が定着しにくくなるので
清潔な環境を整えておきましょう。
水彩紙の風邪対策に役立つアイテム
水彩紙の風邪を予防し、品質を維持するためには
適切なアイテムの使用が効果的です。
ここでは、防湿用の袋や乾燥剤、風邪をひいてしまった紙の機能を
取り戻す事ができるアイテムについても紹介します。
これらのアイテムを活用することで、
水彩紙を長期間良い状態に保つことができるでしょう。
密閉用ポリ袋(ジップロック)
食品や衣類を密閉できるジップ付きのポリ袋に水彩紙を入れておくと
外気に触れないようにすることができます。
乾燥剤を中に入れて使うことで外部の湿度変化から紙を保護し、
紙が劣化するのを抑えてくれます。
ジップ付きのポリ袋は様々なサイズがあるので
保管する紙の大きさやスペースに合わせて選ぶことができます。
乾燥剤
乾燥剤は、保管場所の湿度をコントロールするために非常に有効です。
ジップ付きのポリ袋の中に乾燥剤を入れることで、
湿気を吸収して、紙の状態を良好に保つことができます。
シリカゲルなどの乾燥剤には使い捨てタイプや再利用可能なタイプがあります。
どちらにしても効果を維持するために定期的な交換が必要です。
保存用専用袋
水彩紙を保存するための専用の袋です。
これは湿気だけでなく光からも紙を守ることができますし、
酸化による劣化を防ぐためにも適しています。
乾燥剤を入れるとさらに効果的です。
サイジング液
紙の表面に塗ることで、水彩絵具が紙に染み込むのを抑えて
にじみにくい状態にします。
これによって絵具の発色が良くなる効果も得られます。
にじみ止めの効果のない紙もこれを塗ることで
水彩紙のように水分を吸い込みにくくなります。
サイジングの効果が弱くなった紙にも効果がありそうです。
まとめ
主に水彩画を描くために使われる水彩紙には
荒目、中目、細目といった質感の上にパルプやコットンといった原料の違いがあって
その上にサイジングと呼ばれる滲み止めの加工が施されています。
水彩紙が湿気の影響を受けてサイジングの力が弱まってしまうことを
「風邪をひく」と表現します。
風邪をひいた紙に水彩絵の具を乗せると、サイジングが弱まったり
剥がれてしまった部分は絵の具を吸い込んでしまうので
シミが出来たような状態になります。
風邪を防ぐには、湿度の管理が必要で、ジップロックや専用の保管袋に
乾燥剤と一緒に入れて置くことで開封後も長期間保管することができます。
ご紹介した方法で長期間保存できるとは言っても
開封後はできるだけ早く使い切るようにしましょう。
最後まで読んでくださってありがとうございました。